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この世で一番ほしいプレゼント‬番外編 運命の人4

Auteur: 相沢蒼依
last update Date de publication: 2025-11-06 06:20:14

♡♡♡

アンドレアが南方の宮殿にて、恋の行方を模索している一方、邸宅に残されたカールは、言いつけどおりにリリアーナのもとを訪れた。

「カール、お兄様からパーティーのことを聞いたのかしら?」

執事の私が顔を見せたことで、リリアーナ様はアンドレア様との会話を思い出したのか、扉の前で控えている私の腕を引っ張り、部屋の中に誘う。

「確か、ご友人のお屋敷でおこなわれるパーティーとお聞きしております」

「本当はね、お友達には、お兄様を連れて来てって頼まれているの」

まぶたを伏せて気落ちするご様子に、相槌を打ってみせる。

「なるほど。アンドレア様はどなたがご覧になっても、目を惹く素敵なお方ですから。お近づきになりたいのでしょうね」

(大規模なパーティー会場で、たくさんの人に囲まれていても、アンドレア様の存在を感じ取ることができる。堂々とした佇まいで立っているだけなのに、華やかなオーラをまとった姿は、嫌でも目を奪わてれしまう――)

少し前にあったパーティーのことを思い出していると、リリアーナ様はやや迷惑げな表情で口を開く。

「だけどお兄様がシスコンだってバレてしまうのが、どうしてもイヤなの!
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  • BL小説短編集   第14章:揺らぐ関係

    放課後の図書室。窓の外では夕陽に照らされた木々が、赤や黄金の葉を散らしていた。静かな空間の中、俺と氷室は並んで机に向かっていた。今日の課題に手こずっていた俺が、思わずメッセージで愚痴ったら、氷室は生徒会の仕事を手早く終わらせて、こうして付き合ってくれている。 机の上に灯る読書灯のあたたかい光が、俺たちの距離の近さをほんのりと照らした。「葉月が躓いてるここな。この問題は、こうやって考えるといい」 氷室の指先が教科書を指し示した、そのときだった。 図書室の入り口から、軽い足音とともに健ちゃんが現れた。開いた扉から流れ込む冷たい秋風が、一瞬だけ紙をめくった。健ちゃんはその余韻をまとい、ゆっくりと歩み寄る。「なんだ、ふたりして暇そうだな。奏、暇つぶしに付き合ってやってもいいぞ」 その言葉には、どこか含みがあった。氷室が眉をひそめ、明らかに不快な表情を浮かべる。健ちゃんはそんな空気をものともせず、俺の前に立ち止まり視線を向けてきた。 その視線は懐かしさよりも優越感が混じっていることが明白で、イヤな感じで胸の奥がざわつく。「神崎……見てわかるだろ。葉月のことは俺が見ている。神崎の出番はない」 氷室の静かな声が、漂っている空気をピンと張らせた。しかし健ちゃんはまるでそれを無視するかのように、一歩踏み出した。そして――あまりにも唐突に、こんなことを口にした。「なぁ奏。氷室の隣に立つのに、本当に似合うのは誰だと思う? 実際はさ……俺じゃないか?」 息が止まった。まるで時間が止まったかのように、世界の音が消える。「……健ちゃん、それ……どういう意味?」 やっとの思いで絞り出した声に、健ちゃんはあざ笑いながら言った。「見た目もよくて、頭もいい生徒会長の隣に似合うのは、俺みたいなタイプだってこと。ドジばっかの奏より、ずっとしっくりくるだろう?」 その言葉が、鋭く胸を突き刺した。(ドジばかりして頭もよくない俺は……蓮の隣にいちゃダメなのか?) 鼻の奥がツンとし、込み上げる涙を必死になって堪える。健ちゃんから顔を逸らして俯くと、目の前がじわりと滲んで、教科書の文字がぼやけて見えた。そんな俺の肩に、そっと触れる手があった。 氷室の大きな手だった。 そして彼は静かに、だけど確かな怒気を込めて言った。「神崎、俺は自信過剰なヤツが嫌いだ。だがそれ以上に……俺

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    文化祭が終わって、もうすぐ一ヶ月が経とうとしている。教室の窓の外では、秋風に舞う落ち葉がちらちらと過ぎていく。 ホワイトボードに貼られている文化祭の写真を片付けるように、担任が日直の俺が指名したので、楽しそうな顔をしたクラスメイトの写真を眺めつつ、一枚一枚丁寧に剥がしていたそのとき、背後から低く響く声が耳に届く。「奏、久しぶりだな」 「――健ちゃん?」 聞き覚えのある声に振り向くと、そこには中学の頃と同じ笑顔で立つ神崎健司がいた。髪のセットは変わっていないし、彼の持っている雰囲気も多少成長しているけれど、あの頃のままの“健ちゃん”だった。「健ちゃん、なんでここに……?」 愕然として声が震える。有朋学園に入学してから、成績の悪い俺に関わろうとしなかった健ちゃん。そんな彼がわざわざ俺のクラスに現れ、声をかけてくるなんて。 健ちゃんは口元に笑みを浮かべた。けれどその笑みは、懐かしいはずなのにどこか棘を含んでいて、胸の奥に冷たいざわめきを落とした。「俺も生徒会役員だって知ってた? 氷室とは合同委員会に……それはそうと文化祭、成功していたな」 彼の物言いと注がれる視線に、違和感を覚える。まるで「俺のことを羨ましいと思ってないか?」と試すような物言いだった。 胸の奥で冷たいなにかが、ゆっくりと回転するような感覚が走る。 小学生のあの頃、どこかで感じていた健ちゃんの“優しさの裏の優越感”——それが今、言葉になって目の前に現れた気がした。その現実に触れた瞬間、逃げ出したくなるような不安が胸に押し寄せてくる。「……健ちゃん、どうして、あのとき俺を中学受験に誘ったの?」 声が僅かに震える。問いかけの奥には、信じていたものを裏切られた痛みが滲んでいた。 健ちゃんは眉を少し上げて、睨むような視線を俺に返す。「ははっ、理由? 別に深い意味なんてないさ。ただ、見てみたかったんだよ。ドジでバカな奏が、優秀な俺より上に行く姿を……本当に、そんなことがあるのかってな。実際中学受験に合格しても、ここでの奏の成績は、俺よりもうんと下だったけど」 その瞬間、過去に積み上げた“信頼”という名の積み木が、音を立てて崩れ落ちるのがわかった。優しさの裏に隠された競争心と独占欲。当時、小学生だった俺にはわからなかった“歪んだ想い”が今、胸に深く突き刺さる。 そのとき、教室の扉が

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    日曜日の朝。うっすら曇った空の下、駅前にはひんやりとした風が吹いていた。街路樹のイチョウは昨日よりも落ちていて、舞い落ちたたくさんの葉が足元に転がっていく。 秋が深まる気配に包まれながら、俺は胸の鼓動ばかり気にしていた。待ち合わせ時刻の九時半が近づく中、そわそわしながら、駅前にあるモニュメントの前に突っ立っていた。(てっきり、時間厳守の氷室が先に来てると思ったのに、俺が待つ側になるなんて……それってなんか新鮮だけど、めちゃくちゃ緊張するじゃないか!) 手にしたスマホを何度も見直しながら、指先の微かな震えに気づいてしまう。そのたびに髪を直したり、服の裾を引っ張って整えたりして、どうにも落ち着かない。 どうせ、氷室みたいにキマらないってわかってるのに、それでも今日は、少しでもよく見られたかった。「……ああ靴も、もうちょっとマシなのにしてくればよかったかも」 履き慣れたスニーカーの汚れを気にした、そのとき。背後から静かな足音が近づき、思わず振り返る。「──おはよう、か、奏……」 そこには、少しカジュアルな服装の氷室が立っていた。グレーのシャツに、羽織ったジャケットがよく似合っている。その表情には、僅かな照れと期待が入り混じっていて、見慣れた“完璧”とは違う柔らかさがあった。(おいおい、ちょっと待ってくれよ。制服姿とはまた違う、格好よさが氷室から漂っているだけじゃなく――)「おはよう、氷室……あのさ、今、俺の名前――」 いつもは「葉月」と名字で呼んでいたのに、いきなりの“奏”呼びに心臓が一瞬で跳ねた。「ふたりきりのときは、名前で呼んでもいいかと思ったんだ。もしかして……嫌だったか?」 少しだけ視線を外して言ったその声に、俺は即座に首を横に振った。「全然イヤじゃない! ちょっとビックリしただけだから!」 友達に名前を呼ばれるのと、氷室に呼ばれるのとじゃ、響きがまるで違う。ものすごく特別に感じることができた上に照れすぎて、パニック寸前だった。「だから奏も、俺のことを名前で呼んでほしい」 不意打ちみたいなお願いをされてしまい、頭の中が発狂しそうになる。(しかも、ちょっと上目遣いなんてされたら——絶対に逃げ場がないだろ……)「えっ……れ、蓮……っ?」 声が裏返りそうになるのを必死で抑えて、ようやく出てきたそのひと言に、氷室はふっと笑った。

  • BL小説短編集    第11章:小さな約束、大きな明日へ

    文化祭が終わって、一週間ほどが過ぎたある朝。教室はすっかり日常を取り戻していたけれど、ホワイトボードの上に残された文化祭の準備をしている様子の写真と、本番で笑顔を見せるクラスメイトの写真が、あの特別な時間を静かに思い出させてくれる。 いつものように席に着いて、ペンケースを開けたとき。見慣れた筆跡の小さな付箋が目に留まった。【葉月、ドジするなよ。今日もファイトだ。ずっと応援してる 氷室】 それを読んだ瞬間、胸の奥がじんわりとあたたかくなる。たったひと言なのに、それだけで少し背中が軽くなった気がした。 昼休み、今日も俺のクラスで氷室と並んで弁当を食べていたら、林田がニヤニヤしながら近づいてきた。「奏、最近さ、なんか雰囲気が変わったよな」 「えっ、なんで?」 「顔、ちょっと照れてるっていうか……なんかしあわせそうっていうかさ」 その言葉にドキッとしてしまい、ごまかそうとしてお茶を飲んだのに、タイミング悪くむせてしまう。林田は笑いながら、背中を軽く叩いてきた。「おいおい、大丈夫か?」 「だ、大丈夫……。でも、しあわせそうっていうのは、あながち間違ってないかも」 口元を拭きながら、氷室に視線を送る。彼は驚いたように目を見開き、それから慌てて横を向いた。その耳が赤く染まっているのがちらりと見えて、思わず笑みがこぼれた。 放課後。生徒会の会議がある氷室を待ちながら、校庭のベンチでスマホをいじっていた。空がだんだん金色に染まって、街路樹のイチョウが夕陽に透けて揺れている。秋が深まるたびに、俺たちの時間も新しく色づいていく気がした。「氷室、まだかな……」 小さくぼやいた瞬間、隣にすっと誰かが座る気配がした。「うわっ、びっくりした!」 「待たせたな。遅くなってすまない」 「い、いや、全然大丈夫……」 不意に距離が近づいたことに、心臓が跳ね上がる。顔が熱くなるのを感じて、慌てて俯いた。「葉月、あのさ……映画、見に行かないか?」 「え、映画?」 「来週の日曜。もし予定が空いてたら、一緒にどうかと思って」 その声はどこか緊張をはらんでいたけれど、でも優しかった。秋風がふたりの間をくすぐるように、ふんわりと吹き抜ける。「映画か……いいね。それってつまり、“ふたりだけの約束”ってやつ?」 小さく笑って言うと、氷室も少し照れながら頷いた。「ああ

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